競馬日記 桃源郷 UMA パラダイス

1990年代ダビスタブームを過ごし、2021年のウマ娘ブームで競馬熱が開花した人の日記です。自らの所感と知識をまとめるためにロング版twitter感覚で逐次投稿します。内容は全て執筆当時の認識であり後年の観点からは誤認もあるかと思います。(発見した場合、修正でなく追記を行います)

血統理論の原則がスッと入ります。堀田茂「競馬サイエンス 生物学・遺伝学に基づくサラブレッドの血統入門 (星海社新書)」

 キャロットクラブの会報誌にも記事を掲載している獣医師による血統論本です。タイトルの印象よりずっとエッセイ的でリラックスして読めます。

 現状の競馬産業の血統理論は一般に博物学的過ぎ、科学的とは言い難いもの。メンデルの法則時代ですらない。その様態を主軸に解説しています。例えば最近導入された種牡馬ブリックスアンドモルタルはストームバード3x3の配合のため、次世代は自動的にストームバード4x4に。それが新たな問題にはならない理由も理解できます。

 現在実行されている配合理論に関しての見解は株価美人コンテストの例えを思い起こします。「真の血統馬」とマーケットで高額となる血統馬には恐らくいくらかの乖離があります。「奇跡の血量」4x3も狙ってそうするものではなく、単に活躍馬同士かつ近親過ぎない距離の限界値としての経験則としての要素が大きいと推測されています。この考え方は自分の感覚とも意を同じくするものがあり、後押しを受けた感覚です。

 危険なほどのクロスが組まれた配合の数>実際に生まれる数>競走馬になる数>実際にレースに現れる数で、このステージ間で淘汰された結果が見えているにすぎないのです。

 しかしながら、競馬の世界とくに牡馬は詰まる所G1ホースの種牡馬1頭を作るために年間生産数何千頭かを生贄にするシステムであるため「健全性」の重要度はそこまで高いのだろうか?という印象もあります。「遺伝病は年齢によって発症・悪化するもので、顕在化していないままその要素が継承され続けている可能性がある」という意見も、競走馬である限りはレースによる淘汰でその前に生命を失うものが大多数のため小さな問題であると考えました。

 たとえば中央競馬で遺伝性の病気による斃死や競走能力喪失は滅多にありません。現代競馬究極のインクロス3x2であるエネイブルですら、サラブレッド品種の成立経緯を推測すると、こういったものを執拗に繰り返さなければ革新は起きないのではないかとも思います。

 この本の明快さと曖昧な感覚性両方をきっかけに、競走能力は毛色のように発生原理を遺伝子からの直結で確定できない点が血統論の難解さを高めているという認識を改めて強いものとしました。

特にエッセイ性が強くも興味深かった要素:エピジェネティクス

 エピジェネティクス的な同一遺伝子ままでも起こる作動スイッチのオンオフ・高すぎる主張力・ベストトゥベストの弊害の推測。これは表現が面白くかつ納得できるものです。「松茸とトリュフと松阪牛とフォアグラとイクラとキャビアを全部一緒に口の中に放り込んだら、どんな味がするのでしょう」

特にエッセイ性が強くも興味深かった要素:ミトコンドリアDNA

 牝系のミトコンドリアDNAに関する記述はエッセイ性が強い中でも最も興味深い観点でした。牝系の重要性に関しては、ここ数年ノーザンファームの海外セリでの購買行動*1やウインドインハーヘアの血*2で注目度高まって、ちょうど時代の変わり目を予見した印象です。

 これに関しては、まず前提としてジャパンスタッドブックインターナショナルWebサイト掲載のコラムを読んでおくと理解が一際早いものとなると思います。
jairs.jp

ミトコンドリアDNAと血統論に関する私的見解のメモ

 ミトコンドリアDNAに関しては、自分の手元の未整理のメモにこのようなものがあります。理論的飛躍が気になりつつも、否定するのは難しい要素です。

「競馬はATP代謝である」
この認識は「血統差は牝系で決まる」に繋がる論理。


しかしながら
・ATP代謝はミトコンドリアで行われる。
・ミトコンドリアDNAは母からしか遺伝しない。(この2つは合っている)
→牝系で絶対的走行能力は決まる。(ここを連結するのが理論的に無理があるような‥‥)


この思考からの流れで、マイルG1を2勝のインディチャンプがいかにも長距離タイプのステイゴールド産駒である事への驚きと同時に、母ウィルパワーがG1安田記念優勝馬リアルインパクトの上と考えた際の妥当感が同時に現れます。

参考にできる要素が恐らく大も、現状の自分の知識では完全理解できない専門的解説動画

馬学講座ホースアカデミー11 1.サラブレッドの血統

 エアグルーヴ持ちの異様な好成績率と、非常に古い世代でもスペシャル・リサデルの強さは興味深い。本書で暗に批判されている非科学的血統通の元調教師は恐らく白井寿昭だと思うのですが、この方がしばしば強調するスペシャル・リサデル持ちの強さは否定しがたい。(ただしこれの効果の有無を断言するのは事実上不可能だと思われる)

 私的持論「ダンジグ・デインヒルのクロスに行き過ぎはない」(まずは何が何でもハイレベルのスピード能力を持たせなければという考え方)に関して、SNPマーカー解析の結果デインヒルが極端に乖離した位置にある(≒特異な存在である)点が気になります。

*1:欧米の重賞勝ちすなわち日本においては異系のエリート繁殖牝馬の大量購入。

*2:2024年世代は父ダンスインザダーク・母ウインドインハーヘアの繁殖牝馬ランズエッジを祖母に持つ馬3頭、レガレイラがG1ホープフルステークス優勝・ステレンボッシュがG1桜花賞優勝・アーバンシックがG3京成杯2着で皐月賞4着と途轍もない成績をあげました。

私的結果分析手法・タイム以上に重視しているファクターを中心に(最終更新2024年03月22日)

 この記事の執筆が2023年秋頃に一段落した所で深刻なスランプに陥ってしまったため、当分続きを書くことはできません。そのため2023年11月頃の現状のまま第一稿を公開します。そして今、書いている自分自身が見ても面白い記事のため、追記を繰り返して育てています。

 結果分析すなわちレースレベル(以下レースTier等の表現ぶれ多数)はこうして割り出しています。
 この文章では重賞でも未勝利クラスでも「レースはレース、単にクラスが違うだけで同じもの」として扱っています。レースの回数の関係から、重賞よりも1勝~3勝クラスを中心に考えるとさらに合うでしょう。

季節変動による評価

全てを10月・11月から俯瞰すると クラシック戦線形成開始と古馬たちの決戦

 全ての馬はクラシックのために生まれている。すなわちクラシックから離れる路線になると自動的にレースTierは下がる。2歳夏秋の1800m~2000mは期待度トップの殺伐バトルで、ここからこぼれた者も早期に別路線に移ればかなり強い。明けて3歳冬の1勝特別戦より下の1800~2000mではもうクラシックに間に合わせるのはほとんど不可能になるため、単に長めがいいかなという方向性に寄ります。

 クラシックから外れても、JRAのレース体系はそもそもが重賞を頂点とした条件戦で作られています。重賞のない距離はレースTierが低い。極端な例でいえば、ローカル2600mあがりで何らかの重賞勝つのは大変でしょう。コースだけによるレースTierの変化は、ローカル2600のような「変なコース」に王道の東京・阪神・京都の1800~2200mで少し足りないものが来ると、地力の差だけで押し切ってしまう印象があります。
 例えば東京2000走ってたのが福島2600に来たらまぁ基本強いですよね。芝1800mデビューで大敗繰り返して行き着いたダート1400mでぶっちぎり、こういうのもありますね。

 クラシックの存在とそれにまつわる絶対的パフォーマンスの高さを考えると、芝からのダート替わりは基本的に相手関係弱体化で適性無視して一定度の結果が出せる印象です。(特に未勝利・1勝クラス)
 芝馬といえダート一切走れないなんて事はないですからね。調教だってダートもウッドチップコース走ってますし。

 重賞といっても重要度が高いレース・低いレースがありますね。例えばスワンステークス距離の1400m、毎日王冠距離の1800m、G1としては例外的な宝塚記念距離の2200m。これらも主流からは外れているためパフォーマンス的に少し変わったものが目標とする印象です。根幹距離・非根幹距離はスポーツ科学的にはオカルトですが、馬作りの目標においては意味をもつ概念だと思います。馬がスペシャリストコース向きになっていく。(その傍証として、グランプリ連覇馬はいくらなんでも多すぎないか?)

 指数系の予想に関しては、2歳馬のタイムは毎月のように急激に速くなるため、久々のものは指数算出が事実上不可能だと思います。何月に出した数字を元に算出しているのか常に意識する必要があります。

 牝馬は距離が長いほどにレースレベルが低下します。逆に考えれば、短いほどにその不利は消滅。1200mでは牡馬に劣るところはありません。

 牝馬では元々レースレベルにないようなものが統計値を押し下げている傾向が一際顕著に感じられます。
 統計でよく知られている例「逃げ馬は強い」これは単に遅すぎて追走一杯のものが差し追込の戦績を引き下げている要素も大です。

 これに関係して、番組数が少ない牝馬限定ダート1700mや1800mよりも、混合芝1200~1400mに路線変更した方が結果が良いのでは?という印象を受けるものも見受けられます。(特にヘニーヒューズ産駒など明確なダート血統かつ短距離への対応力が高いもの。体格が小さいのであえて芝ハイペースに投入する。砂ハイペースでなく)

調子管理・健康管理・調教一般評価

 サラブレッド一般論的に、馬体重は夏季に軽く秋に重くなるように自然変化します。そのため、10月や11月において前走8月からのプラスマイナス0kgなら10~16kg程度減っているにも等しいと考えたほうが適正という印象です。が、馬体重の数字そのものにあまりこだわる必要はない感もあります。夏→秋のローテで減少していたり、秋→秋のローテで2桁減していたりすると問題ありますが、中2週以上で一桁差なら誤差の範囲内かなと。パドックでフンをしただけで数kg変わっちゃいますし。

 調教は終い2ハロンの伸びがほぼ全てだと思います。坂路の加速ラップ・ウッドチップの末脚など。そして終い重点調教は意外と負荷が小さいためいくら好タイムを出しても馬体重減少には繋がりづらい印象です。坂路・ウッドチップいずれも全体時計重視の場合は負荷が大で、これはレースの一週前でも過負荷になりがちと認識しています。馬体重は減って当然。

 TV等では火曜や水曜の追い切りの映像がよく取り上げられますが、自分の感覚ではここはもう調整程度かなという印象です。ここで負荷をかけてしまうと実質連闘レースになってしまいます。ただし前述のように終い2Fだけ伸ばす分には大丈夫でしょう。ウッドチップ6Fならイメージベストラップは15-15-15-14.5-11.5-11.0 の82.0秒。全区間で0.1秒刻みで誤差なくはっきり認識できるようになったのは自動計測時代ならではのものです。

 調教脚色の評価における「馬也」は無視してタイムのみに着目すべきです。手綱でかなり押している、レースシーンでいえば4コーナー立ち上がりくらいの強さでも「馬也」になっているものが何ら珍しくありません。ムチも加速装置ではなく、使うと一杯になる訳ではない。ただし「ゴール前一杯」は結構正確な印象です。(このような誤差は調教スタンドからの見え方の関係?調教脚色の評価は明らかにおかしいものが著しく多いです)

タイム一般評価

 特にダート競走で、クラスが上がった直後に逆にタイムが遅くなることは珍しくない。微妙に締まったラップにより、タイム最適化ペースよりずっとハイペースになって終盤でつぶれてしまう。

ペースがタイムを支配する

 例えばTARGET frontier JVでRPCIが55(スロー)のレースで高速タイムが出せる馬は50(ミドル)のレースではもっと速いはず。タイム短縮の余地がある。逆に50で高速タイムを出した馬は55(スロー)では振るわなくなってしまう。45(ハイ)になっても同様。

 そして運動生理学的にはミドル~微ハイ気味のレンジでレコードタイムが出る事が解析されている。

 一部でいわれる「レコードの反動」はもしかするとこの最適ペースレンジから外れる事で発生するのかもしれない。1分30秒で決着がつくレースには勝てるが、同じコースで1分32秒になると負けてしまうような馬は珍しくない。

コース別評価

コース評価一般論・使用頻度が高い所を中心に

 広く知られているように、一般に関西馬のほうが強いです。ダートの条件戦では特にそれが顕著です。さらにコースごとに自然と生じるレースレベル差があります。
 関西ブロック限定では 阪神>京都工事中の中京>京都=中京>小倉 このようになるかと思います。東西混合で考えると、小倉でも東京(除く1600m)に近いレベルがあり、中央場所の中山よりメンバーレベルは高いです。中山のレースレベルは東西混合新潟や北海道シリーズと比較して劣ります。関東ブロック新潟や福島よりは高ランク帯。ただしオープン以上は全て東西混合になるためこのような差異は全く生じません。指数的なものでは、ダートは同じくらいの強さでも関西ブロックコースで出した数字が低めになります。競り合いに伴うdebuffが強いためです。

 美浦新坂路が完成した今後はこのようなデータも恐らく是正されるはずです。
 芝ならば既にノーザンファーム天栄>NFしがらき>それ以外の関西馬>それ以外の関東馬といった序列になっている印象です。ダートは今でもしがらき最強!そうはいってもレモンポップは関東馬でしかもゴドルフィン。

東京ダート1600m

 外枠有利で知られるコースですが、雨が降って高速ダートになると何故か逆に内枠有利に寄って外枠が勝てなくなります。前走評価する際の重要ファクター。

中山ダート1200m

  寸評が「後方伸も」で外から迫ってきた馬は基本スピード指数よりも強いです。さらにいえば「前に出ないと」な中山に出るのをやめて、レースレベルが高くなってでも関西ブロックの阪神・中京のダートスプリントに出たほうが良いのでは?とすら思います。これらのコースは後方からでも届く可能性が幾ばくか高い印象があります。出走権が得られるかどうかに関しては不明ですが‥‥。

 基本的にフルゲート埋まっているコースのため、TARGET frontier JV等で馬番・足質・前3ハロン速さの並びでテーブル化すると面白いデータが取れるコースじゃないかなとも考えています。

阪神外回り一般論

 ジョッキーカメラとコーナー曲率の数字で分かった事ですが、見た目よりずっと狭く、コーナーはきついコースです。直線は長い。いわゆる「府中専用機」が発生する原因の一つは、この阪神でのコーナリングスピードではないかと疑っています。
 逆に札幌は曲率が緩いためコーナーの寸法以上に大箱としての特性を持っています。

 阪神外のコーナー曲率の例:リバティアイランドの桜花賞2023
www.youtube.com

新潟競馬場 芝外回り

 新潟外は長直線のため差しが台頭するように思えるが、非常に平坦で逃げ先行が止まる理由がないため、上がり3ハロン勝負を開始する段階でかなり前目に位置取りできていなければ勝負権はない。よって逃げ先行が思いのほか残れる。上がり3ハロン32.9でも全く届かないコースとイメージすると合う印象です。この前目につけられなかった馬を選抜すると安定的に色々と考えられるのではないかなと思います。

血統一般論

 サンデーサイレンスを中心にかなり均質化が進んでいる今では、この血統だから有利というより、弱点に注目して血統不利で負けたのを取り戻せるイメージを持つ方が良いかもしれない?という印象。

 ローカルで負けてるエピファネイア、東京で負けてるシルバーステートみたいなものに着目。

 2歳3歳だと配合云々以前にとにかくブラックタイプが強い(近親が重賞など大レースを制しているものが有力な)印象。少なくとも自分が一口馬主をやるならばそのような方向で考えます。

 血統の効果が明確にあるのは、成長曲線・性別による特性差。「2歳の芝重賞はダイワメジャー産駒を機械的に買うだけ」式の予想でも十分実用的なはずです。新時代の「ダイワメジャー」はどの馬だろう?

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競馬用語の「柔らかさ」が分からない。それでも「ある」としか言えない。競馬用語の定量化不可能性。

 競馬用語の「芝で走る柔らかさ」は定量化できないため原則無視してます。

 しかしながら「ある」としか言えない。

 560kg級のダートモンスターであるにも関わらず柔らかく巨大なストライドでアメリカダートの覇者となったフライトラインの走りが非常に印象的でこれから想像した事になりますが━━━

 ラクに出せるストライド長が長い→大コースでのスタミナ消費少ない→クラシック戦線で強い→年を取って身体が硬くなるとピッチ走行気味になって消耗が大きくなってしまう。セン馬はこれが抑止できる。
 といった因果関係があるのかもしれません。もろにダート血統でも2歳や3歳前半のような若駒のころは芝でよく走るものが比較的多いですよね。

 アメリカだと芝よりダートの方が大コース(単に外に設置してある)で、この血統が日本の芝で走る━━等ありそうです。

 ストライド長が計測されているものでは
 フライトライン>セクレタリアト>単純に体格の壁>ディープインパクト(日本では長ストライドで有名)>オルフェーヴルとされています。

 以上の全てはピッチ走法の馬が芝でも速いという状況で完全に崩壊します。やはり柔らかさ無視し続けようか‥‥悩みは尽きません。

ドゥラメンテもハーツクライも「硬くなりやすい」血統?牡馬用血統と牝馬用血統

 ドゥラメンテ産駒牡馬の芝重賞勝ち馬の数はイメージよりもずっと少なく、ダートのほうが明確に優勢です。

 キズナ牡馬の古馬戦で芝のオープン・リステッド・重賞で好走できるのはスプリントに分類されるレースが中心である点も気になります。(一般論的にスプリント=ハイペースのサバイバル戦≒ダートで適性は近似します)

 同様に、ハーツクライにアメリカ型繁殖牝馬を配合してうまくいく確率が高いのは、生まれたのが牝馬の場合かもしれません。この配合が目立つのはディープインパクト用のアメリカダート繁殖牝馬に代わりにハーツクライ配合した現2歳 2021年産のみに留まりますが‥‥。

 ブライアンズタイムを持つ配合が現在ではダート中心ととらえられるように、ハーツクライ≒トニービンもそのような位置づけになっていくのかもしれないと考えることがあります。

 ドウデュースはまさにこのようなハーツクライxアメリカ配合ながら芝の頂点・日本ダービーで優勝してます。しかしながら古馬になっての天皇賞・秋では身体が完全にマイラーになったと思えるほどにムキムキで、これも気になっています。*1

 以上のように、牡馬と牝馬で極端に傾向が異なるリーディング上位種牡馬が多い現状、血統論は牡馬用と牝馬用で別に体系化する必要があるのではないかと考えています。*2

 競馬用語の「柔らかさ」は一切定量化されないため納得いかないが、あるとしかいえない。そしてアメリカダート配合するとかなり硬くなるが、牝馬なら元が柔らかいので大丈夫。
 芝で走るからダートで走らない、ダートで走るから芝で走らない相反する何かがあるように思えます。
 この辺りの感覚が現状認識です。

クラシック戦線で勝つのは「牡馬っぽい牝馬と牝馬っぽい牡馬」

 これも何故なのか理屈だって説明できませんが、こうなっているとしか言いようがない状態です。
 デカくて硬い牝馬と、柔らかい牡馬が強い。

高額配合の相手といえばアメリカダート勝ち牝馬だが‥‥

 ディープインパクト用のアメリカダート繁殖牝馬は現状こんな感じで素軽さがすぐになくなってしまう印象を持っています。

・ドゥラメンテ→ダート化
・キズナ→牡馬はただでさえダートなのがさらにダート化
・ロードカナロア→元々の距離が短すぎ
・キタサンブラック→ダート化
・スワーヴリチャード→???(アンブライドルズソング持ちでこれもダートっぽくなりそうな気がするが、どうか)
・コントレイル→???(スワーヴリチャードのハーツクライをディープインパクトに変えた版かつ、母ロードクロサイトの血統が隙間なしの完全アメリカダートと考えるとどうか)
・フィエールマン→???(珍しい完全欧州型ディープインパクトなので非常に期待も、社台スタリオンステーションに入れず配合優先順位低いため下剋上は困難)
・アスクビクターモア→完全欧州型ディープインパクトで高速タイム対応のこれが死んだのは本当に痛恨

ちょっとクセがあるものでは
・エピファネイア→不思議な配合で何が出るのかなんとも傾向が掴み難い。スプリントとダートが苦手なことだけは明確。
・モーリス→意外なほど芝優位の種牡馬。*3これはノーザンファームが持つアメリカダート牝馬資産を活かすのに最適かもしれません。
・ブリックスアンドモルタル→アメリカの芝馬といえ配合的にはほとんどダートで、なぜこんなに日本の芝で走るのか不思議~~~ サンデーサイレンスがアメリカダートホースなのと同様?

相馬眼は均等ではない

 これはPOGをやっていて何となく気づいたことなのですが、人の持つ「相馬眼」には個性があり、単にレースで勝つものを見出す確率が高いか低いか以上に大きな違いがあります。

 クラシック路線が得意な人(これが一番幸運な適性)・長い間活躍する丈夫なものが得意な人・牝馬が得意な人・ダートが得意な人などなど‥‥様々なタイプが存在します。

 自分が完全に自分のセンスで選ぶと、ダートばかりになります。ムキムキマッチョの馬が好きで柔軟性は考慮せず、素軽さには欠ける。個人的にこれを「シンボリクリスエス好き過ぎ問題」と表現しています。

 この方式に基づいて今年はイーグルノワールを選抜しており、2歳11月上旬段階で既に2勝・G1全日本2歳優駿を目標としてJpn2 兵庫ジュニアグランプリをステップとして使うか検討中という素晴らしい能力を発揮しています。しかしダート路線ではJRAでの賞金獲得からは遠い。

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*1:2023年の天皇賞・秋の次走はジャパンカップよりマイルチャンピオンシップを選んだほうが単に勝率だけなら優位に思えます。ただしこれはイクイノックスに対して降伏するに等しいため全く非現実的。

*2:リーディング上位でなくとも傾向に極端な差がある種牡馬といえばミッキーアイル。牡馬はダート、牝馬は芝しか走らない。

*3:回収率統計を見ると「意外」と捉えるべき数字になっています。

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競馬ファン史を早分かり 小川隆行ほか「アイドルホース列伝 1970-2021 (星海社新書)」

 ウマ娘ブームに合わせて素早く書き上げられた印象の一冊です。

 複数人のチームにより人気馬101頭の活躍当時の空気が1・2ページ程度のコラム・ショートエッセイ的にまとめられています。競走成績やパフォーマンスでは分からない馬券の話題が多く、優駿やNumberなどの(自分が見る事の多い)スポーツ性特化型に現れにくい当時のファン同士での空気感を一度にサクサクまとめて知ることができます。回顧系としては珍しい内容です。

 自分のような新規の馬券ファンには非常にありがたいものとなっています。

 編集:持丸剛

レース番組表に秋の訪れを感じる。オールカマー・神戸新聞杯ウィークがやってくる。

 オールカマーと神戸新聞杯がやってくると、秋G1を狙える有力馬たちの臨戦態勢はもちろんのこと、気候的にも「秋が始まる」という感じです。

 動物と共にある競技であるため、季節の移り変わりを共に楽しめる。こういった趣も競馬の楽しみの一つ。

レース後の追記

 いずれもGIに繋がる非常に熱いレースで、記憶にも、そして神戸新聞杯はレコード決着で記録にも残るレースとなりました。
 ロングスパート戦を制したサトノグランツ、これは強いぞ!菊花賞三世代制覇だ!といった所です。
 前半が遅いスローペースの展開ながら後半が非常に速く、前後がほぼ均等ないし前半がやや速い運動生理学的最適ペースよりタイムが出づらい展開でこのパフォーマンスは、京都コースのレイアウトとも噛み合うかと推測します。

2022年牝馬クラシック戦線で活躍したウォーターナビレラ 4歳9月で引退・繁殖入り

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 武幸四郎調教師・武豊騎手の兄弟コンビでKBSファンタジーステークス2021を制し、タイム差0.0に多数が殺到した激戦の桜花賞2022で二冠牝馬スターズオンアースと同タイムの2着となったウォーターナビレラが引退した。

 2歳時のファンタジーSでナムラクレアを圧倒した力も、今はもうそのような事が全く考えられない状態になっていました。「馬ってここまで全く走らなくなる事ってあるんだな」と学びました。もっとずっと上まで目指せる馬と見ていましたが、パフォーマンスに占めるレースセンスの割合が高すぎて絶対的スピードが全然伸びなかった印象です。(タイム・スピード指数的にもそのように算出されています)

 好調時は、決して高いといえない配合レベルからこの成績を上げる種牡馬シルバーステートの主張力に驚かされたものでした。種付料600万円化の立役者の一頭です。

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喜怒哀楽、厩務員の日々 田村正一「サラブレッドと暮らしています。」

 今作は園田競馬の厩務員が描いたエッセイ感覚のマンガです。この笑いと悲しみが揃った感覚、中央競馬ファンでも条件馬を多く追って見ている自分の感覚にぴったりハマりました。そう華やかではないレースと、皆で日々の稽古付けがある日常。そして馬の競走生命には始まりがあれば終わりも‥‥

 著者の白泉社らしいマンガ力が非常に高く、競馬と全然関係ない分野で描いた作品も楽しそうです。
 ポーカープレイヤーになってそのマンガを描いているのは驚きでしたが‥‥!

 最近競馬ファンの間で自虐入ってる身も蓋もなさで話題になった園田競馬ビギナーズガイドも描いていると知り納得の笑いも。twitterで見かけるG1予想おじさんマンガもこの方の作品だったんですね笑


 2023年末に競馬予想マンガのまとめ版が出ました。